ピストチェーン引き

 ケイリン系のフレームに付いているチェーン引き、選手のお下がりには必ず付いてるやつ。これって、結構嫌われ物。たいがい、こんなのいらないって外されちゃいます。

せっかくシンプルなケイリン系のフレームになんでこんな安っぽいパーツが付いているんでしょう。
一つは、チェーンの微調整をやり易くする、もう一つは強い力でのペダリングでハブがずれるのを防ぐ為。チェーンの微調整はともかく、近年の精度の良い日本製フレーム、部品においてはこんなの必要ないと思うのですが、競輪にはnjsと言う保守的な規定があるので現在も競技車には必ず使われています。

安っぽいメッキが掛かったこんな感じのパーツです。

正式に作られた物はnjsの刻印も付いてます。

ストリートレベルの乗り方じゃ必要ないなら、やっぱり外しちゃおう~。てな人にケイリンフレームとチェーン引きの密接な関係を説明します。

組み付けで預かっているフレームのエンド幅を計ります。このフレームはエンド幅110ミリの物です。
このフレーム、ほぼ新品、110ミリエンドなのにノギスの目盛りは113ミリ?この3ミリの差が今日のポイントです。

次に新品の110ミリ規格ハブのオーバールックナットの幅を計ります。こっちはピッタリ110ミリです。

この113ミリ、110ミリの3ミリの差、たかが3ミリの差なのですが、このままナットを締め込むと、せっかく1ミリの狂いも無く作られたフレームのシートスティ、チェーンスティに負担が掛かるのは勿論、タイヤのセンターが出しにくく、チェーンが張リずらくなります。

なんで世界に誇る日本のフレームビルダーに作られたフレームに3ミリの誤差があるのかというと、
初めからチェーン引きを入れる事を想定して片側1.5ミリの2枚分の3ミリ分を大きくしてあるのです。


チェーン引きを付けるとホントにドンピシャで納まります。日本の職人さんは素晴らしいです。1ミリの狂い無し。



たかが3ミリですが、エンド幅とハブのロックナットの寸法が合う事で、チェーン張りもスムースになりフレームにも負担を掛けずにハブナットの締め付けができます。値段も二つで500~600円の物なのでケイリンフレームを大切に乗りたい人は是非チェーン引きを付けましょう。

でも、どーしてもこれ付けるの嫌って人はこれで。
厚さ1.5ミリの鉄ワッシャーを二枚。

ロックナットの内側に取り付けます。

2枚で合計3ミリ、チェーン引きのワッシャーの厚さと同じです。ハブのロックナット寸法が113ミリになりました。

これでピッタリ納まります。ハブのずれ防止、チェーン張りの微調整の効果はありませんが、フレームに負担をかけず、ロックナットが締め易くなりチェーン張りもスムーズに出来ます。

ケイリンフレーム、あくまでもnjsの認定フレームの事で、同じ鉄の細いフレームでもnjsの規格外の物や海外のブランド物はこの様ではないのでご注意を。長い間、3ミリ違いの差を締め付けられて自然に寸法が変わってしまった物もありますが、ハンガーにnjsの刻印の付いているものは必ず110,120共に3ミリの違いを付けて作られています。

現状以下の3種のチェーン引きが巷では売られています。写真中央上三ヶ島製njs,写真左キヌガワネジ製njs,写真右汎用(ママチャリ~ピストまで)全てg.garageにラインナップされています。

ではまた来年に。

dk